レジオン通信17号
  2002年5月発行

  巻頭言(フランス菓子)     藤巻 正夫

私が食の仕事をするきっかけとなったフランス菓子についての思いをまとめてみたいと思います。私が一番始めに感動したフランス菓子はマロングラッセでした。高校3年の秋だったと思います。マロングラッセで最初の店を決めてしまいました。そして日本で3店舗(ヒサモト洋菓子店、菓歩区、オーボンヴュータン)で修行しお菓子作りの基本を学び欧州へ。最初に働いたのはスイスの5つ星のホテル、ボーリバージュパラス ローザンヌ、私が働いた年は創立125年という節目の大イベントの年でした。ここではホテルの重厚な豪華さ、システム化された厨房、すばらしいサービス、宴会、結婚式、パーティーの料理とデザートを充分観ること事ができました。それからフランスの3つ星レストラン、ムーラン・ドゥ・ムージャン、2つ星ラ・コートドールで働く事が出来ました。フランス最高峰のデザートとはこういう考え方、技法で作るのかと感動しました。同時に素材のすばらしさ、農業国フランスのすごさを感じました。レストランでは農業分野を持ち、とれたての野菜、フルーツで調理していました。とれたて、完熟がおいしいのは知っていたつもり。しかしこのへんがなかなか出来ないところだと思います。そしてお菓子屋、ジョルジュ ヴェーニュでは伝統のフランス菓子を学ぶことが出来ました。長いようで短い4年間でした。国、人、食の豊かさは農業が支えている、心の奥底に染入り帰国しました。
◎ 日本での菓子作り
帰国後、ブリアンアヴニールで約8年間シェフとして店を任されました。最初の4年間は今まで得た物を表現したいと言う気持ちで作っていました。当時フランス菓子とは世界中のすばらしい素材を使い、手間をおしまず、伝統技術を駆使して作るのがフランス菓子だと思っていました。5年目の年に聞いた講演会(アメリカ政府の委員会報告、マクガバンレポート、食と犯罪の講演)がきっかけで原材料の見方,考え方が変ってきました。後半の4年間は食品添加物を出来るだけ使用しなで安全な素材を使った菓子、パン作りに切り替えて行きました。
◎ レジオンでの菓子作り。
食品添加物は一切使用せず出来るだけ無(低)農薬の日本の素材を使ってフランスの伝統、文化、技法、を活かして安全とおいしさをテーマに進んできました。オープン以来たくさんの新作菓子を作って来ました。そこでいつも考えることは自然体で固定観念にとらわれない菓子作りをしようという事、そして、おいしいものとはどんな物か、どうやって組み立て創造して行くのか、まずこんなお菓子を作りたいという思い、そしてどう美味しくさせるか、一つのお菓子の中にはさまざまな味の段階、食感の段階、香りの段階があり、それをどう凝縮させ味わいを深めてゆくか、構成力、表現力、技術力、自分らしさをどう出して行くか、レジオンでしか食べられない、完成度の高いお菓子を作り、幸せのひと時のお手伝いをしたい、お客様のお役に立つお菓子作りをしたい、そんな思いでお菓子作りをしています。
● レジオンのパンとサンドイッチ
2002年よりセーグル・ルヴァンが新しい形になりました。そして味もぐっと美味しくなりました。ライ麦の美味しさを充分感じて頂けるパンです。ほんのりと酸味が感じられ食欲をそそります。本当に存在感のあるパンです。ぜひこのパンの美味しさを味わって頂きたいと思い、いままでバゲットで作っていたカマンベールサンド、グリュイエールサンド、スモークサーモンサンドがセーグル・ルヴァンでもお食べ頂けるようになりました。チーズとの相性は抜群です。又スモークサーモンと程よい酸味のセーグルがとても良いハーモニーを奏でています。ぜひ納得の美味しさをお試し下さい。
● 大麻(ヘンプ)について
レジオン通信16号でへンプの事を書きました。説明が不充分だったようで質問を多く頂きましたのでもう少し説明をしてみたいと思います。
◎ 大麻は天然循環資源である。
1、 衣服などを作ることが出来る。大麻は綿花(コットン)のように大量の水、農薬、化学肥料を使わずに栽培できるので環境負荷が極めて低い。
2、 紙を作る事が出来る。大麻は1年草で毎年収穫が出来るので、同じ面積で木材の4倍程度の紙パルプを生産できます。現存する最古の紙は、中国で発見された約2100年前の大麻紙です。
3、 生活用品を作ることが出来ます。種子のオイルからシャンプー、リンス、石鹸、スキンケア商品など作れます。
4、 住宅建材を作ることが出来ます。丈夫で長い茎の繊維を固めるとコンクリートより強度があり、軽量かつ断熱効果の高い建材になります。
5、 エネルギーとなる。大麻の種子油や茎のセルロースからでもディーゼル用油と同じような発火点をもつ燃料やメタノール、エタノールをつくることができます。メタノールは21世紀期待のクリーンエネルギーで、燃料電池の原料にもなります。
6、 プラスチックを作れる。茎のセルロースからは微生物に分解されて土に還る生分解性プラスチックを作れます。
◎ 土から育ったオーガニックカー
1929年、アメリカのフォード社は、大麻の自動車への応用に着手、12年間研究し大麻カーを開発しています。車体のフレームはスチールを使用しましたが、ボディーの70%は大麻とサイザル麻と麦わらで造られたヘンププラスチックボディーで、大麻の種子からとった油を燃料にして走らせる実験に成功しています。ちなみに、この車は同型タイプの車と比較して、重量は3分の1で衝撃強度は10倍あるということです。本当にすごいと思います。無限な資源で車が走り、プラスチックもできる、そしてすべてが自然に帰る。正に地球を元気に蘇生化,活性化するすばらしい貴重な植物です。
●まだまだたくさん書きたいすごい所が在ります。日本人は縄文時代以前の古代より、大麻を栽培し、生活に密着した植物として、様々なものに活用してきました。詳しくは中山康直著「麻ことのはなし」発行所、評言社、電話03−3252−6701、または「ヘンプがわかる55の質問」赤星栄志著、日本麻協会発行、電話0745−33−3309をご覧下さい。
   
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